
現在の仕事内容を教えてください。平成13年に中日本航空専門学校を卒業後、当社へ入社しました。今年で5年目になります。今は機体システム関連の整備をしています。主に飛行機の外まわりにある装備品である、エンジン、フライトコントロール系統、ランディングギアの整備を行っています。
実家が愛知県で名古屋空港が近かったので、日頃から飛行機が飛び立つところを見ていました。そういう影響もあって、飛行機が好きでした。単純なことがきっかけだったんです。
整備士になりたいと思ったのは、「飛行機がどういう風に飛んでいるか?」それ自体を学びたかったということがあります。
実際、飛行機は重たいものです。専門学校で習っていた時も、整備を
仕事にしている今でも、不思議な感じがあります。
「この重たい飛行機が空を飛ぶ」
それ自体が凄いことだと今でも感じています。
そうでしょ?その不思議なことを知りたい。理解したい。そんな気持ちから今の仕事に就いたのですよ(笑顔)
まず、当然のように旅客機の整備をしたかった。その思いが根底にあります。また同じ整備をするなら大きな空港でやりたかったというのが単純な理由です。
羽田と成田は、日本の主力空港です。羽田に修学旅行で来たことがあって、自分が見ていた名古屋空港より、はるかに大きな空港で飛行機の離発着や人が多い。
「航空機の仕事をするなら羽田」
その思いがあってその気持ちが実現できる今の会社を希望しました。
確かに羽田とか成田は次々と飛行機が離発着しているイメージがありますね。離発着が多いということは、それだけ大変だろうけど、一人前の整備士になっていくには、近道だろう。そんなことを考えていました。環境は厳しいほど、身につくものも多いだろうと思っていました。
現場に出てみると体を使う仕事なので、体調を整えていかないといけない。そのことは学生時代には想像できなかったことです。
私は2シフトと言って、勤務時間が朝からの場合と昼からの場合の2パターンの勤務でやっていますが、ほとんどの人は3シフトで朝、昼、夜からの交代制勤務です。
2シフトは、朝が、8時出社で17時半終了。昼からの場合が、13時半から22時までと比較的、リズムはつくりやすいです。1週間は、6日周期で、朝からの出勤を2日間、昼からの出勤を2日間、休みが2日間というサイクルになります。
実際はそんなこともなかったです。作業を覚えるのに夢中でしたからね。
また飛行機の機種が多いので、それぞれの特性を覚えてそれぞれの作業をしなくてはならないので、自ら学び知識を持つこと、それぞれの経験を重ねることで精一杯でした。
現在は、767、777、747-400の機体を主に作業整備していますが、それだけでもエンジンの数が違ったり、機体の大きさが違ったりと覚えなくてはならないことが違います。機体が似たような形だと作業内容も同じなのですが、形が違えばそれも違ってくるのです。
さらに飛行機にも車などと同様、同機種でも年代があり、新しいシステムが入ったりと日々勉強、経験しなくてはなりません。でも一度には覚えられないので、毎日毎日、ひとつひとつやっていくことが大事です。この業界では「一夜漬け」は通用しませんね。
シフトがつらいとか、朝がつらいとかそんなことを感じる余裕が最初はないように思います。それだけ充実しているわけですから。
はい。資格としてはまず、社内資格があります。取得したランクに応じて作業をやっていく感じです。入社して1年たって初級整備士の資格があり、そこから3年経つと初級のランクがひとつ上のMの2級(M2)と、場所の区分に分かれて一つ一つ資格をとっていきます。私は、現在767という機種のエンジン関係の社内資格を持っています。
一人前になるにはどれくらいかかりますか?一人前という概念が曖昧なので、難しい質問ですね。
先程の話の続きになりますが、作業に慣れて、M2が取れるようになってくると少しずつ任されてきます。その上にM1という資格があるのですが、これをとれば自分たちの整備の範囲ですと一番認められるという形になります。もちろんM1をとってからも経験、勉強は必要ですが。
先程、入社して1年で初級。その後2−3年でM2の資格とお話させていただきました。そのM2からM1にあがるにはさらに3年以上の経験が必要なので、トータル7−8年くらいでしょうか?
我々はお客さまに安全、安心を約束する立場です。大切なお客さまの命をあずかる仕事ですから、時間をかけいろんなことを繰り返し経験する必要があります。
また機体が進歩することで新しいことも勉強していかなくてはなりませんので、時間をかけて成長していくことは大事なことだと考えています。
はい。多くのお客様に喜んでもらえるよう私たち整備士も、常に成長し続けなければならないと感じています。
授業では、飛行機を7−8人のチームで1機任されます。もちろん小型機なのですが。それをみんなで仕上げていく。それは本当に興味深いものでした。卒業して5年になりますが、そのことは今でも思い出すことがあります。自分たちでエンジンをおろしてつけたりとか、そのエンジンを分解したりとか。そういうことをチームで協力しあってやっていきます。
航空専門学校は目的がしっかり絞られていますから、同じ夢を持って仲間が集まる。みんな飛行機が好きだから話もあいますしね。授業でも結構好きなことをやらせてもらえました。整備関係でもこれをやりたいと言えば、そういう環境を整えてくれたり。
私は実家から通っていましたので、クラブ活動には参加しなかったのですが、学校祭に参加したりなど、そういう授業以外でも一体感がありました。実家から近くに航空機整備士を目指せる専門学校がある。これ自体が本当にラッキーだったと思います。
学校では基本的作業の経験、知識を得られた分、それがベースになったことは良かったことです。先程の繰り返しになりますが、小型機、大型機の違いはあるわけですが、基本的な部分は共通していますからね。
今の仕事のやりがいを教えてください。「自分の整備した飛行機が飛ぶ」ということです。それも、単に飛ぶわけでなく、お客さまを乗せて飛ぶわけです。
「な〜んだそんなことか?」と笑われるかもしれませんが、専門学校時代は小型機。それも実際、自分の整備したものが飛ぶわけではないですから、なおさらなんですね。もちろんその分、責任感も違います。
その責任感がやりがいにつながっています。
そうです。やはり身が引き締まりますよ。
今、私がやっている仕事は、ドックでの整備です。いわば定期点検。車でいう車検みたいなものです。その作業自体をさらにスムーズにできるようにすることと、同時に国家資格の一等航空整備士の資格を取得しようと勉強しています。今年の夏(7月末)に、まずは学科試験を受験する予定です。
国家資格を取得することでさらに違うステージで経験ができます。もちろん、社内の資格を取らないと社内整備ができませんので、それも大事。双方が必要です。
将来的にはこの業界もライン中心の仕事にもなっていきますので、自分自身、ライン部門の整備をしたいと考えています。責任も大きいし、お客さまとの距離も近く、自分がサインした飛行機が出て行くわけですから。
このことをはじめ、いろんな経験をいろんなところでやっていき、一人前の航空整備士になっていきたいと考えています。
はい。今は自分の休みを削ったりして勉強しないと時間がありませんのでそうやって時間をつくっています。会社としてまとまった
1つの資料を与えてくれているのでそれを勉強します。足りないものは現場の資料を持ってきて勉強していきます。
ひょっとして専門学校時代より勉強している?専門学校時代も勉強することが学生の仕事だと思っていましたから、手は抜いていませんよ(笑)でも、社会に出たなら出たで、さらに経験と学習がいる。人命を預かっている仕事ですから当然のことだと考えています。
ただ実際、専門学校時代より勉強には時間がとれないです。普段は、通常の仕事をしていますからね。だから今はどうやって両立していくか、時間の配分に工夫がいります。季節によっても今のように夏で暑いと体もこたえて来ますし。
今、話をさせてもらっていることは、専門学校時代にはわからないこと。社会に出てみないとわからないことです。だから、そのことを考えても、専門学校時代には、その時にできる勉強は後回しにせず修得するのがいいですね。
英語とかは大事ですね。マニュアルが英語ですから。全部英語で訳なしです。もちろん辞書があって訳せれば良いということですが。ただ、この業界は専門用語が多いですから、少し特殊です。だから英語はできれば勉強した方がいいです。飛行機自体海外のものですからね。
あとは勉強というわけではないですが、航空機には関係ない、他の趣味みたいなものを持っていくことも大事です。趣味で気分を晴らせると、仕事も逆に集中できて良かったりします。
私は釣りが好きで、よく出かけて行きますね。趣味がまた仕事につながることもありますし。釣りは 小さい時からやっています。
冬はスキーとかボードとかもやります。
あと、JALグループではバレー部に入っています。高校の時にやっていたので。基本は週1回の練習です。でも実際は月2回ぐらいしかできないですけどね。みんなシフトの時間があわないですし。それでも区の大会とかも出たりするので、まじめにやっています(笑顔)
神経も体力も使う仕事ですから、たまには気分転換が必要ですよね。また趣味を通じてのいろんな方との交流も大事だと思いますよ。実際バレー部にはいろんな部署の人が集まるので、コミュニケーションの場にもなります。1人でする趣味も良し、大勢で楽しむも良しだと僕は思います。
今年から一等航空運航整備士コースが生まれます。専門学校時に大型機の勉強、実習ができ、資格がとれるということは本当に恵まれた環境だと思います。その資格取得を出発点として、入社して、経験を積むという意味で考えたなら、1歩進んだスタート地点だと言えると思います。
ただ、資格は最低限、その仕事をするためのライセンスみたいなものです。現場など多くの経験を積んでこそ生かされるものだと私は個人的に感じています。
また、小型機だと整備は1人でできます。大型機は1人でできない仕事です。実際、私たちは、作業コントロールに適任とされた人がリーダーに指名されて、ツールボックスミ‐ティング(今日の作業の確認、作業の方法、注意、ポイントの確認)をして作業を行います。
そういう意味では、報告、連絡、相談などコミュニケーションは本当に大事です。 情報の共有は大切なので、それは専門学校時代から友達や先生と話をしていくなど、普段からコミュニケーションの大切さを心掛けておくのが良いと思います。
資格、現場経験、コミュ二ケーションなどバランスが大切だと思いますよ。
はい。「飛行機に対して嘘をつかない」ってことです。
人命を預かっているのですから、「不安だけどまあいいか」ってのはありえないですよね? 実際、作業が膨大なので、ここわからないなあってところはあります。そんな時は特に、独自判断をせず、必ず手順書を刷ってきたり、前回の作業を確認したりして、整備する必要があります。
また責任感は大事です。社会に出て大人として成長していくわけだから。TPOにあわせて全力を尽くす。これは最低限の心構えだと思います。
これは余談ですが、案外、食生活とか大事ですね。健康のために。昼から勤務は、22時終わりとはいえ、帰ってくるとおなかが減る。そこで一気に食べてしまったりすると良くないですね。専門学校時代はどれだけ食べても太らないし、どれだけ起きていても次の日が平気だったりしましたが、やっぱり社会人3年目くらいからは、そうも言えなくなってきましたので特に注意しないといけないなあと思います。
やっぱり飛行機のことを好きでいてもらいたいです。今まで話をさせてもらったように、勉強も大変ですし、仕事も大変です。でも好きならなんでも経験できる。だからその気持ちがあるかどうかは大きなことだと思います
専門学校はそういう飛行機好きが、同じ夢を志す仲間が集まるところです。それもまた将来に向けて本当に良いことだと思うので是非、その生活も楽しんでもらいたいですね。
・・・・一等航空整備士の筆記試験。頑張ってください! 本日は本当にありがとうございました。・・・・・・